AIに作らせ別のAIに採点させる2段構えでミスをほぼなくす仕組み

AIに仕事を任せたのに、出てきたものをそのまま使えなかった経験はないでしょうか。文字数が足りない、使ってはいけない言葉が混ざっている、話の順番が指示と違う。結局は人の目で見つけて、こちらが直してあげないと完成しない。相談でも本当によく聞く声です。

私自身、AIに台本や記事を任せ始めた頃は、まったく同じところで詰まりました。同じAIに「もう一度見直して」と頼んでも、なぜか同じミスが残ったまま戻ってくるのです。

なぜそうなるかというと、書いた本人に採点までさせているから。これに尽きます。出した答えをかわいく見てしまい、ひいき目で丸を付けて返してきます。

ここから先で、人の目に頼らずミスをほぼなくす2段構えの仕組みをお伝えします。読み終わるころには、AIからの納品物に対するモヤモヤが、ぐっと軽くなっているはずです。

AIに自分の出力を見直しさせても直らない本当の理由

AIに納品物を作らせて、そのままAIに見直しまでさせる。多くの方がやっているこのやり方は、実はミスがいちばん残るパターンなんです。

理由はシンプルで、書いた本人に採点を任せているからです。人間でも自分で書いた文章を一晩寝かせて読み返すと違和感に気づきますが、書いた直後の自分は誤字すら見つけにくい。AIも同じで、自分が出した答えはかわいいものとして処理してしまうのです。

しかもAIの場合、人間より深刻です。一度自分の中で正解と判定したものは、その後何度見直しさせても、同じ判定が再生産されやすい。文字数オーバーも、使ってはいけない言葉も、話の順番のずれも、全部丸を付けて返してきます。

この状態でいくらAIを使い込んでも、品質はある段階で頭打ちになります。本気で品質を上げたいなら、書く役と採点する役を、構造として分けるしかないんです。

AIの納品物からミスをほぼなくす2段構えの仕組み

ここから具体的な仕組みに入ります。やることはたった3つで、どれも今日から1人でも入れられるものばかりです。AIをもっと賢くしようとする方向ではなく、役を分ける方向で攻めるのが、いちばん効きます。

1 作る担当のAIと採点担当のAIを別の窓で動かす

最初の一歩は、書くAIと採点するAIを物理的に分けることです。同じ画面で続けて見直しさせるのではなく、別の窓を開いて、まったく別のAIに採点だけお願いします。

ポイントは、採点側のAIに、書いた側がどんな指示を受けていたかをいちいち教えないこと。「これこれの基準を満たしているか採点してほしい」とだけ伝えて、原稿を貼り付けます。書いた経緯を知らないからこそ、結果だけを冷静に見てくれるんです。

私の感覚では、これだけで見落としが半分ぐらいに減ります。同じ脳で書いて採点していた状態から、書く脳と採点する脳が完全に独立したことで、ひいき目が消えるからです。書く側のAIには「最高にうまく書けた」と褒めてもらいたい気持ちがあっても、採点側のAIにはそういう情はありません。

経営をしている方なら、自分の提案書を自分でレビューするのと、別のメンバーにレビューしてもらうのとで、出てくる指摘の数がまったく違うのを体感していると思います。それと同じことを、AIの世界でやるだけなんです。

2 採点側に合格の基準を先に箇条書きで渡す

2つ目は、採点する側に「合格の基準」を先に渡すことです。これがないと、AIの採点はただの感想文になります。

合格の基準は、できるだけ具体的に箇条書きで書きます。文字数が指定通りに収まっているか。使ってはいけない言葉が混ざっていないか。話の順番が決めたものと一致しているか。読者への問いかけが冒頭に入っているか。一つひとつ、丸かバツかで判定できる粒度に砕いてあげるのがコツです。

なぜ箇条書きで渡すかというと、AIに「いい感じか見て」と聞くと、いい感じです、と返ってくるだけだから。基準を渡すと、感想ではなく事実ベースで判定が返ってきます。「文字数は1280字でクリア。ただし使ってはいけない言葉のリストにある言葉が3か所混ざっています」と、具体的な指摘が返ってくるんです。

経営者の方には、この感覚が一番伝わりやすいと思います。社員に「いい感じにやっておいて」と頼んでもバラバラの結果が返ってくるけれど、チェックリストを渡せば誰がやっても同じ品質に近づく。それと完全に同じ仕組みです。

私の場合、台本や記事のジャンルごとに合格の基準のリストを用意しています。新しい原稿が出てきたら、そのリストを採点側のAIに先に渡してから、原稿を見せる。この順番だけは絶対に守るようにしています。

3 不合格なら書く側に戻して直させるキャッチボールを回す

3つ目は、採点側でバツが出た項目を、そのまま書く側に渡して直してもらうことです。人がいったん受け取って、要約して、書く側に伝え直す必要はありません。

採点側のAIから返ってきた指摘を、そっくりそのまま書く側のAIにコピーして、「この指摘に沿って直してほしい」と頼むだけ。書く側はその指摘を見て、該当箇所だけ修正します。修正版が出てきたら、また採点側に渡して再採点。OKが出るまでこのキャッチボールを回します。

ここで大事なのは、人が間に入って判断しないこと。採点側の指摘の意味を人が解釈し直すと、結局そこに人の感情が入って、甘くなったり厳しくなったりします。AIの世界はAIの世界で完結させて、人は外から見ているだけにすると、品質が安定するんです。

実際に回してみると、3往復目ぐらいで合格になることが多いです。まれに5往復しても採点側がバツを出す場合は、合格の基準そのものが厳しすぎるか、書く側のAIへの最初の指示があいまいだったケースがほとんどです。そのときは仕組みを止めて、基準か指示のどちらが原因かを見直します。

2段構えを入れる前と入れた後で変わったこと

仕組みの話だけでは現場の感覚が伝わりにくいので、私自身の変化を共有します。

2段構えを入れる前は、AIから出てきた原稿を、私が1本ずつ読んでチェックしていました。文字数を数え、使ってはいけない言葉を検索し、話の順番が指示通りかを見比べる。1本あたり1時間ほど。週に20本動かしていたので、それだけで20時間が消えていく計算でした。

これを2段構えに切り替えたら、私のチェック時間がほとんど消えました。AIから「合格しました」と上がってきた原稿は、ぱっと最後に目を通すだけで納品できます。最後の確認すら、念のためにやっているレベルで、ほとんどそのまま使えるようになりました。

何より変わったのは、AIに任せたあとの精神的なモヤモヤです。「どうせまたミスがあるんじゃないか」と疑いながら受け取っていた頃と、「合格基準を通ってきている」と分かった状態で受け取る今では、心の負荷がまったく違います。AIへの信頼そのものが回復したような感覚なんです。

経営の現場でも同じだと思います。スタッフから上がってくる成果物を、毎回ゼロから疑ってチェックしないといけない関係と、合格基準を通った状態で上がってくる関係では、リーダーの脳の使い方が変わります。AIにも同じ仕組みを入れてあげるだけで、判断や戦略に使える脳の余白が、一気に戻ってきます。

明日から1人でも始められる2段構えの第一歩

最後に、明日から試せる小さな第一歩をお伝えします。いきなり仕組み全部を入れる必要はありません。1つだけ試すなら、これから書くものを採点する用の合格基準リストを、5項目だけ作ってみてください。

文字数の上限と下限。使ってはいけない言葉。読者への問いかけが冒頭に入っているか。話の順番が指示と一致しているか。締めくくりに行動を促す一文があるか。このぐらいの粒度で5つあれば、十分に機能します。

そのリストを、別の窓を開いた採点用のAIに先に渡します。そのうえで、書く側のAIから出てきた原稿を貼り付けて、「合格しているかこの基準で採点して」と頼むだけ。これでもう、書いた本人に採点させていた頃とは、まったく違う指摘が返ってきます。

返ってきた指摘の中で、合格していない項目があれば、その指摘を書く側のAIにそのままコピーして、修正版を出してもらう。これを繰り返せば、人がチェックする時間はどんどん削れていきます。

仕組みを入れるのは1日もかかりません。でも入れた瞬間からAIの納品物の品質が変わります。人の目で疲れる前に、別のAIに採点役を任せる。この発想を一度味わってもらえると、AIに対する見方が、きっと一段深くなるはずです!